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東京地方裁判所 平成元年(ワ)14346号 判決 1992年11月27日

東京都渋谷区千駄ケ谷四丁目二六番一一号

原告

小林宏慈

右訴訟代理人弁護士

石川幸吉

右訴訟復代理人弁護士

成瀬眞康

東京都新宿区新宿五丁目一四番九号

被告

株式会社文昌堂

右代表者代表取締役

渡辺武

茨城県那珂郡那珂町大字豊喰字新地一四一番地

被告

文昌堂精機有限会社

右代表者代表取締役

土岐輝雄

右両名訴訟代理人弁護士

荒木孝壬

福屋登

右輔佐人弁理士

武田賢市

主文

原告の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  原告の請求

一  被告らは、別紙目録(一)、(二)及び(三)記載の冊子の綴じ折り装置(以下、順に「被告製品(一)」、「被告製品(二)」、「被告製品(三)」という。)を製造販売してはならない。

二  被告らが占有又は所有する被告製品(一)ないし(三)及びこれに関するカタログ、値段表並びに宣伝文書を廃棄せよ。

三  被告らは、原告に対し、連帯して五〇〇〇万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一1  (主位的請求について)

本件は、被告らが、原告の有する紙束綴装置に関する特許権(特許第一四九三一〇八号)を侵害する被告製品(一)ないし(三)を製造販売しているとし、原告が、被告らに対し、特許権に基づく被告製品(一)ないし(三)の製造販売の差止め及び廃棄等、並びに、特許法六五条の三の規定に基づく実施料相当額の補償金、仮保護の権利の侵害を理由とする同法五二条二項により準用される同法一〇二条二項に基づく損害賠償金及び特許権侵害を理由とする同法一〇二条二項に基づく損害賠償金の合計五五八〇万円のうち五〇〇〇万円の支払いを求めるものである。

2  (予備的請求について)

予備的に、被告らが、原告において右特許権の実施許諾についての交渉のために開示した右特許権に係る発明の内容等を利用して被告製品(一)ないし(三)を製造販売しているとし、民法七〇三条、七〇四条に基づき右1と同額の不当利得の返還を求めるものである。

二  争いのない事実

(主位的請求について)

1 (原告の特許権)

原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その発明を「本件発明」という。)を有する。

発明の名称 紙束綴装置

出願日 昭和五三年三月二八日

公開日 同五四年一〇月三日

公告日 同六三年六月九日

登録日 平成元年四月二〇日

登録番号 第一四九三一〇八号

2 本件発明の特許願に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載は、本判決添付の特許公報(以下「本件公報」という。)の該当項記載のとおりである。

3 本件発明の構成要件は、次のとおりである。

A 上縁側を稍後方に傾斜させた紙束送り台の下縁部には定規版を備え

B この送り台には紙束送り方向に向けて開口するスリットを有し

C この紙束送り台の裏面にあって一対のスプロケットに掛け回されて、前記スリットに沿って配置されたチェーンを備え、そのチェーンに前記スリットから突出して移動する紙束送出用駒を備えると共に

D 前記スプロケットの回転軸に回転を伝えるブレーキ付電磁クラッチを備え

E 前記紙束送り台の送り方向側に出入り自在に綴位置規制ストッパーとこのストッパーに当接した紙束をストッパーと略同時に動作して綴じ合わせるホチキスガンとを備え

F 前記紙束送り台に載置した紙束をスイッチをもって検出して前記スプロケットの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させると共に、この紙束の綴位置への移動を前記スイッチをもって検出させて紙束送出用駒の移動を一時的に停止させ、その間に上記のホチキスガンを動作させるようにした事

G を特徴としてなる紙束綴装置

4 被告文昌堂精機は、被告製品(一)を少なくとも一台製造した。また、同被告は、被告製品(二)及び(三)を少なくとも一九台製造し、被告文昌堂は、これを販売した。

被告製品(二)及び(三)は、送紙板の構成と操作盤73の位置が相違するのみで、その余の構造を共通にするものである。

三  主な争点

(主位的請求について)

1 被告製品(一)は本件発明の技術的範囲に属するか。

(一) 本件発明の構成要件Aを充足するか。

(1) 原告の主張

本件発明の「紙束送り台」と被告製品(一)の送紙板1とは、いずれも紙束の下端を送り台の傾斜下端に揃えて、紙束の重力を送り台の傾斜下端に置くことによって、紙束を揃えたまま移送することを可能にするためのものであり、技術的意味の異ならないものであるし、垂直に近い急傾斜であっても丁合機と接続することは不可能ではないから、被告製品(一)は本件発明の構成要件Aを充足する。

(2) 被告らの主張

本件発明の「紙束送り台」は、「上縁側を稍後方に傾斜させた」いわば黒板のような垂直面を基準とする縦型の架台であり、丁合機と連動させて紙を一枚づつ台上に送り込んで所定の枚数の紙束に揃え、しかるのち丁合と紙綴じの作業を連続して自動的に行わせるという作用を期待できないのに対し、被告製品(一)の送紙板1は、丁合機と連動して紙束の丁合から紙綴じまでの作業を連続して自動的に行うことができるようにすることを目的とし、正面側に低く背面側に高くなるように三〇度ないし四五度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた、机のような水平面を基準とするものであり、丁合機から送られてくる紙を一枚づつ具合よく受け止めて、これらの紙を上下両端が案内板上できちっと整えられた状態で、所定枚数からなる紙束として揃えられるまで保持しておくことができる機能を備えているから、被告製品(一)は本件発明の構成要件Aを充足しない。

(二) 本件発明の構成要件Bを充足するか。

被告らは、右(一)(2)のとおり被告製品(一)の送紙板1が本件発明の紙束送り台と異なる構造のものであることから、被告製品(一)の爪移動溝においても、本件発明の構成要件Bにいう「スリット」と異なる構造のものであり、本件発明の構成要件Bを充足しない旨主張している。

(三) 本件発明の構成要件Cを充足するか。

被告らは、右(一)(2)のとおり被告製品(一)の送紙板1が本件発明の紙束送り台と異なる構造のものであることから、被告製品(一)において送紙板1の下面に一対のスプロケットに掛け回され、爪移動溝の外方に突出して紙束を送る紙送り爪を備えたチェーンを備えた紙送り機構においても、本件発明の構成要件Bの紙送り機構と異なる構造のものであるから、本件発明の構成要件Cを充足しない旨主張している。

(四) 本件発明の構成要件Eを充足するか。

(1) 原告の主張

本件発明においては、紙束を綴じる機構の代名詞として「ホチキスガン」の用語を用いているのであり、被告製品(一)のワイヤーステッチャーは、同一機能の改良部品にすぎないから、本件発明の構成要件Eを充足する。

(2) 被告らの主張

本件発明では、紙綴じ装置として、本件発明の特許出願当時、当事者間で周知であったワイヤーステッチャーを使用せず、紙綴じ装置としては能率の劣るホチキスガンを使用することを必須の構成要件としているのに対し、被告製品(一)は、長尺のワイヤーを巻いたワイヤーコイルをセットするだけで長時間補充の必要なく連続して綴じ作業を継続することができ、ホチキスガンに比較してはるかに能率よく、かつ、経済的に優れた作用効果を有するワイヤーステッチャーを使用しているから、本件発明の構成要件Eを充足しない。

(五) 本件発明の構成要件Fを充足するか。

(1) 原告の主張

被告製品(一)において、紙束が綴じ位置へ移送されたときに紙束の移動を一時的に停止するのが「マグネットクラッチプーリー17」の作用によるものであったとしても、「マイクロスイッチ21」の作用を「マグネットクラッチプーリー17」に分担させただけのことであって、技術的構成として本件発明の「スイッチ」と同一である。

(2) 被告らの主張

本件発明の紙束送り台上のスイッチは、紙束を検知して紙束送出用駒を移動させ、紙束が綴じ位置へ移送された状態を検出して紙束送出用駒の移動を一時的に停止させるという二つの作用を行うものであるのに対し、被告製品(一)の送紙板1上に設けられたマイクロスイッチ21は、右のような二つの作用を行わないし、本件発明の紙束送り台上のスイッチは、紙束送り台上に紙束が載せられると、直ちにこれを検出して紙束送出用駒の移動を開始させるという構成のものであるのに対し、被告製品(一)のマイクロスイッチ21は、紙束送り爪のチェーンを駆動することになるとはいえ、本来の目的が丁合機から送られてくる紙を所定の位置で的確に検知して、紙束として揃えられる所定時間経過後に紙送り爪のチェーンを駆動する前段階としてのタイマーを作動させることにあり、それ故丁合機から送られてくる紙をマイクロスイッチ21が検知したとしても、これによって直ちにその紙の移動が行われるものではないから、被告製品(一)は本件発明の構成要件Fを充足しない。

2 被告製品(二)及び(三)は本件発明の技術的範囲に属するか。

(一) 本件発明の構成要件Aを充足するか。

(1) 原告の主張

本件発明の「紙束送り台」と被告製品(二)及び(三)の送紙板1とは、いずれも紙束の下端を送り台の傾斜下端に揃えて、紙束の重力を送り台の傾斜下端に置くことによって、紙束を揃えたまま移送することを可能にするためのものであり、技術的意味の異ならないものであるし、垂直に近い急傾斜であっても丁合機と接続することは不可能ではないから、被告製品(二)及び(三)は本件発明の構成要件Aを充足する。

(2) 被告らの主張

本件発明の「紙束送り台」は、「上縁側を稍後方に傾斜させた」いわば黒板のような垂直面を基準とする縦型の架台であり、丁合機と連動させて紙を一枚づつ台上に送り込んで所定の枚数の紙束に揃え、しかるのち丁合と紙綴じの作業を連続して自動的に行わせるという作用を期待できないのに対し、被告製品(二)及び(三)の送紙板1は、丁合機と連動して紙束の丁合から紙綴じまでの作業を連続して自動的に行うことができるようにすることを目的とし、正面側に低く背面側に高くなるように一五度ないし三〇度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた、机のような水平面を基準とするものであり、丁合機から送られてくる紙を一枚づつ具合よく受け止めて、これらの紙を上下両端が案内板上できちっと整えられた状態で、所定枚数からなる紙束として揃えられるまで保持しおくことができる機能を備えているから、被告製品(二)及び(三)は本件発明の構成要件Aを充足しない。

(二) 本件発明の構成要件Bを充足するか。

被告らは、右(一)(2)のとおり被告製品(二)及び(三)の送紙板1が本件発明の紙束送り台と異なる構造のものであることから、被告製品(二)及び(三)の爪移動溝においても、本件発明の構成要件Bにいう「スリット」と異なる構造のものであるから、本件発明の構成要件Bを充足しない旨主張している。

(三) 本件発明の構成要件Cを充足するか。

被告らは、右(一)(2)のとおり被告製品(二)及び(三)の送紙板1が本件発明の紙束送り台と異なる構造のものであることから、被告製品(二)及び(三)において送紙板1の下面に一対のスプロケットに掛け回され、爪移動溝の外方に突出して紙束を送る紙送り爪を備えたチェーンを備えた紙送り機構においても、本件発明の構成要件Bの紙送り機構と異なる構造のものであるから、本件発明の構成要件Cを充足しない旨主張している。

(四) 本件発明の構成要件Eを充足するか。

(1) 原告の主張

本件発明のホチキスガンと被告製品(二)及び(三)のワイヤーステッチャーとの相違は、被告主張のとおりであるが、本件発明においては、紙束を綴じる機構の代名詞として「ホチキスガン」の用語を用いているのであり、被告製品(二)及び(三)のワイヤーステッチャーは、同一機能の改良部品にすぎないから、本件発明の構成要件Eを充足する。

(2) 被告らの主張

本件発明では、紙綴じ装置として、本件発明の特許出願当時に公知であったワイヤーステッチャーを使用せず、紙綴じ装置としては能率の劣るホチキスガンを使用することを必須の構成要件としているのに対し、被告製品(二)及び(三)は、長尺のワイヤーを巻いたワイヤーコイルをセットするだけで長時間補充の必要なく連続して綴じ作業を継続することができ、ホチキスガンに比較してはるかに能率よく、かつ、経済的に優れた作用効果を有するワイヤーステッチャーを使用しているから、本件発明の構成要件Eを充足しない。

(五) 本件発明の構成要件Fを充足するか。

(1) 原告の主張

被告製品(二)及び(三)において、紙束が綴じ位置へ移送されたときに紙束の移動を一時的に停止するのがマイクロスイッチ45の作用によるものであったとしても、マイクロスイッチ17の作用をマイクロスイッチ45に分担させただけのことであって、技術的構成として本件発明の「スイッチ」と同一である。

(2) 被告らの主張

本件発明の紙束送り台上のスイッチは、紙束を検知して紙束送出用駒を移動させ、紙束が綴じ位置へ移送された状態を検出して紙束送出用駒の移動を一時的に停止させるという二つの作用を行うものであるのに対し、被告製品(二)及び(三)の送紙板1上に設けられたマイクロスイッチ17は、右のような二つの作用を行わないし、本件発明の紙束送り台上のスイッチは、紙束送り台上に紙束が載せられると、直ちにこれを検出して紙束送出用駒の移動を開始させるという構成のものであるのに対し、被告製品(二)及び(三)のマイクロスイッチ17は、紙束送り爪のチェーンを駆動することになるとはいえ、本来の目的が丁合機から送られてくる紙を所定の被告製品(二)及び(三)は、長尺のワイヤーを巻いたワイヤーコイルをセットするだけで長時間補充の必要なく連続して綴じ作業を継続することができ、ホチキスガンに比較してはるかに能率よく、かつ、経済的に優れた作用効果を有するワイヤーステッチャーを使用しているから、本件発明の構成要件Eを充足しない。

(五) 本件発明の構成要件Fを充足するか。

(1) 原告の主張

被告製品(二)及び(三)において、紙束が綴じ位置へ移送されたときに紙束の移動を一時的に停止するのがマイクロスイッチ45の作用によるものであったとしても、マイクロスイッチ17の作用をマイクロスイッチ45に分担させただけのことであって、技術的構成として本件発明の「スイッチ」と同一である。

(2) 被告らの主張

本件発明の紙束送り台上のスイッチは、紙束を検知して紙束送出用駒を移動させ、紙束が綴じ位置へ移送された状態を検出して紙束送出用駒の移動を一時的に停止させるという二つの作用を行うものであるのに対し、被告製品(二)及び(三)の送紙板1上に設けられたマイクロスイッチ17は、右のような二つの作用を行わないし、本件発明の紙束送り台上のスイッチは、紙束送り台上に紙束が載せられると、直ちにこれを検出して紙束送出用駒の移動を開始させるという構成のものであるのに対し、被告製品(二)及び(三)のマイクロスイッチ17は、紙束送り爪のチェーンを駆動することになるとはいえ、本来の目的が丁合機から送られてくる紙を所定の位置で的確に検知して、紙束として揃えられる所定時間経過後に紙送り爪のチェーンを駆動する前段階としてのタイマーを作動させることにあり、それ故丁合機から送られてくる紙をマイクロスイッチ17が検知したとしても、これによって直ちにその紙の移動が行われるものではないから、被告製品(二)及び(三)は本件発明の構成要件Fを充足しない。

3 補償金額及び損害賠償金額

(一) 原告の主張

被告製品(一)ないし(三)の製造販売による補償金及び損害賠償金額の合計五五八〇万円の算出根拠は、次のとおりである。

(1) 被告製品(一) 補償金八一〇万円(出願公開後書面で警告した昭和五五年一月二四日から同五六年八月までの間に製造販売した九〇台分。)

(2) 被告製品(二) 補償金九九〇万円(昭和五六年九月から同五八年六月までの間に製造販売した一一〇台分。)

(3) 被告製品(三) 補償金及び損害賠償金三七八○万円(昭和五八年七月から平成二年八月までの間に製造販売した四二〇台分。)

(4) 但し、被告製品(一)ないし(三)のいずれもその販売価格は安く見積もっても三〇〇万円を下ることはないから、実施料相当額は、一台当たり三〇〇万円の三パーセントの九万円である。

(二) 被告らの主張

被告製品(一)は、昭和五四年一月に試作機一台を製造したのみで生産を中止し、商品としては一台も製造販売していない。

被告製品(二)、(三)は、昭和五六年七月から昭和五九年二月までの間に合計一九台を製造販売したのみで、それ以外は製造販売していない。

(予備的請求について)

4 不当利得返還請求権の成否

原告の主張

原告は、本件発明について特許出願した後、被告らに対し、本件発明を開示し、これからの製本イメージを説いて実施許諾に関する交渉をしたが、被告らが採用を拒否したため実施許諾契約を締結するに至らなかった。

当時の被告らの製品は、丁合専用機で、綴じ折り機能を持つ自動装置を製造販売していなかったものであるところ、被告らが被告製品(一)ないし(三)を製造販売し好業績を挙げることは、原告の被告らに対する本件発明の開示や資料提供がなければありえなかったものであるから、五〇〇〇万円の範囲内で不当利得の返還を求める。

第三  争点に対する判断

一  被告製品(一)は本件発明の技術的範囲に属するかについて

1  本件発明の目的及び効果

(一) 本件発明は、簡単な製本に適した紙束綴装置に関するものである。従来使用されている自動的な紙束綴装置は、製本の専門業者が多数の部数を製本するためのものがほとんどであり、例えば、通常のオフィスにおいて、小枚数、小部数の紙束の綴込を行うに適した簡易な自動紙束綴には適さないものであった。本件発明は、従来の右のような欠点に鑑み、簡易な自動の紙束綴装置を提供するとともに該装置において薄いいわゆる腰の弱い紙葉からなる紙束においても的確な綴込がなし得られるようにしたものである(以上甲第一号証(本件公報)一頁1欄二二行ないし2欄五行)。

(二) そして、本件発明は、本件公報の特許請求の範囲記載の構成をとることにより、紙束を送り台上に載せることによって自動的に送り出され、所定位置で一時停止されて自動的に綴じ込みがなされて送り出されるものであり、送り台に水平方向のスリットを設け、そのスリットから紙束送出用駒を突出させて紙束が送り出されるようにしているとともに、右駒は、紙束を送り台に載置することによりONされるスイッチによって紙束送り機構に入力され、これを介してその紙束送り機構が駆動されるようにしたことにより、送り台に対し、いずれの方向から紙束を載せた場合にも的確な送り込みが得られることとなり送り台のスペースを小さくすることができ、装置全体をコンパクトなのものとすることができ(同三頁6欄五行ないし一九行)、かつ、紙束を紙束送出用駒をもってその後縁を押して送り出し、ストッパーに当接する位置でその駒の送り動作を一旦停止させるようにし、その間に綴込動作を行わせ、その後、再度紙束送出用駒を動作させて送り出すようにしたことによって、紙束送出用駒の当接時に紙束の後縁が揃えられ、ストッパーへの当接時に前縁が揃えられ、結果的に、二回の揃え作業がなされることとなって、紙束がきれいに揃った状態で綴じることができ、かつ、送り力は綴動作中完全に停止してるため、薄紙のような腰の弱い紙からなる紙束であってもきれいに綴り込まれるというものである(同二四行ないし三三行)。

2  被告製品(一)は本件発明の構成要件Aを充足するか。

(一) 本件発明の紙束送り台は、上縁側を稍後方に傾斜させた構成である(甲第一号証一頁1欄二行)。

本件発明における紙束送り台の上縁側を「稍後方に傾斜させた」とは、垂直状態から上縁部を後方に傾斜させる趣旨であると解することができるが、それが垂直に対しどの程度の傾斜であるかについては、「梢」の一般的な語意から、少しばかり傾斜させたものであり大幅な傾斜でないものと認められるが、それ以上に傾斜の程度を具体的に限定する記載は本件明細書中の特許請求の範囲には認められない。

そこで、本件明細書の発明の詳細な説明の記載について検討すると、前記1(二)認定の、送り台のスペースを小さくすることができ、装置全体をコンパクトなものとすることができるという効果は、送り台の上縁部を稍後方に傾斜させることによって、送り台の水平面に対する投影面積を、送り台が水平の場合や送り台の上縁部が後方に大幅に傾斜している場合よりも小さくすることができることを指すものと解することができる。この場合、送り台が水平な場合の投影面積を一とすれば、垂直に対し送り台を角度θ傾斜させた場合の送り台の投影面積はsinθもであることは自明であるから、θが四五度の場合の送り台の投影面積は水平の場合の約〇・七一倍であり、θが大きくなれば投影面積は更に水平な場合に近くなることは明白である。

更に、本件明細書の発明の詳細な説明中には、本件発明の実施例についての説明として、「この送り台1は稍後方に傾けて傾斜した状態に配置され、その前面に沿って紙束Aを立て水平方向に移動させるようにしている。」との記載(甲第一号証二頁3欄二行ないし四行)がある。右記載によれば、稍後方に傾けて傾斜した状態の送り台を移動する紙束は、前面に沿って「立て」るものと表現されており、稍後方に傾けて傾斜した送り台の水平に対する傾斜が相当に急であるものと認められる。

以上の事実によれば、本件発明における紙束送り台の上縁側を「稍後方に傾斜させた」とは、垂直状態から上縁部を少しだけ後方に傾斜させた、水平に対する傾斜が相当に急な状態をいい、少なくとも垂直に対し四五度以上後方に傾斜させたものは含まないものと認めるのが相当である。

(二) これに対し、被告製品(一)は、正面側が低く背面側が高くなるように、三〇度ないし四五度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた送紙板1を備えた構造(別紙目録(一))、即ち、送紙板1の上縁側を垂直に対し四五度ないし六〇度後方に傾斜させた構造であるから、本件発明の構成要件Aにいう「稍後方に傾斜させた」構成に当たらず、被告製品(一)は、本件発明の構成要件Aを充足するとは認められない。

(三) 原告は、本件発明の「紙束送り台」と被告製品(一)の送紙板1とは、いずれも紙束の下端を送り台の傾斜下端に揃えて、紙束の重力を送り台の傾斜下端に置くことによって、紙束を揃えたまま移送することを可能にするためのものであり、技術的意味の異ならないものであるし、垂直に近い急傾斜であっても丁合機と接続することは不可能ではないから、被告製品(一)は本件発明の構成要件Aを充足する旨主張するが、右(一)のとおりの効果を奏するたあに、本件発明においては、「梢後方に傾斜させた」紙束送り台を備えることを発明の必須の構成要件として特許請求の範囲に明記し、その意味が前記のとおりである以上、本件発明と構成を異にする被告製品(一)について、本件発明の構成要件Aを充足するということはできない。

したがって、原告の右主張は、採用することができない。

3  被告製品(一)は本件発明の構成要件Eを充足するか。

(一) 本件発明は、「ストッパーに当接した紙束をストッパーと略同時に動作して綴じ合わせるホチキスガン」を備えることを構成要件としていて、ホチキスによって紙束を綴じ合わせるものである。

他方、被告製品(一)は、「送紙板1の略中央部上方にはワイヤーステッチャー27が設けられている」という構造を有しており、ホチキスによらずワイヤーによって紙束を綴じ合わせるものである(別紙目録(一))。

ホチキスガンは、予めコの字形に折り曲げられた多数のホチキス針をマガジン内に充填配置し、この針で紙綴じを行うものであるのに対し、ワイヤーステッチャーは、コイル状に巻いたワイヤーボビンから繰り出されるワイヤーを、その都度自動的に所定の長さに切断して紙綴じを行うもので、両者は異なるものであり(争いない事実)、かつ、両者とも本件出願当時周知の装置であった(乙第六号証、第七号証、弁論の全趣旨)。また、本件明細書には、本件明細書中の「ホチキスガン」が紙を綴じる機構一般を示すとの記載はない(甲第一号証)。このような事情のもとで、本件発明がホチキスガンを備えることを構成要件とする以上、ホチキスガンを具備せず、ワイヤーステッチャーが設けられている被告製品(一)は、本件発明の構成要件Eを充足するとは認められない。

(二) 原告は、被告製品(二)のワイヤーステッチャーは、同一機能の改良部品にすぎないから、本件発明の構成要件Eを充足する旨主張するが、本件発明においては、「ホチキスガン」を備えることを構成要件とすることにより、前1のとおりの装置全体をコンパクトなものとし、簡易な紙束綴装置を提供する目的を達成するという効果を奏するものであり、たとえ、ワイヤーステッチャーが紙を綴るという点ではホチキスガンと機能を同じくするとしても、大きさ、重量、コスト等の点でも本件発明の効果を奏し得ることの証明がない上、ホチキスガンを備えることが本件発明の必須の構成要件とされている以上、この要件を具備しない被告製品(一)について、本件発明の構成要件Eを充足するとはいえない。

4  被告製品(一)は本件発明の構成要件Fを充足するか。

(一) 本件明細書の特許請求の範囲には、「前記紙束送り台に載置した紙束をスイッチをもって検出して前記スプロケットの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させると共に、この紙束の綴位置への移動を前記スイッチをもって検出させて紙束送出用駒の移動を一時的に停止させ」と記載されている(甲第一号証一頁1欄一三行ないし一八行)。

(二) 右(一)及び前記1認定の事実によれば、本件発明は、特許請求の範囲にいう「スイッチ」において、紙束送り台に載置した紙束を検出して前記スプロケットの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させ、かつ、右紙束の綴位置への移動を検出して紙束送出用駒の移動を一時的に停止させるという二つの作用を行うという構成を採用することによって、簡易な自動の紙束綴装置を提供するとともに該装置において薄い、腰の弱い紙葉からなる紙束においても的確な綴込みができるという本件発明の目的を達成し、また、送り台に対し、いずれの方向から紙束を載せた場合にも的確な送り込みが得られ、紙束送出用駒の当接時に紙束の後縁が揃えられ、ストッパーへの当接時に前縁が揃えられ、結果的に、二回の揃え作業がなされることとなって、紙束がきれいに揃った状態で綴じることができるという効果を奏するものであることが認められる。

(三) 他方、被告製品(一)は、「ワイヤーステッチャー27の方向に向けて爪移動溝3が開設され、この爪移動溝3の下面には一対のスプロケット5、6に掛け回され、前記爪移動溝3の外方に突出して紙束を送るための紙送り爪7、8を備えたチェーン4が張設され」、「送紙板1の案内板2には、丁合機Dから送紙板1上に送られてきた紙束を検知してタイマーを作動させ、所定の時間経過後に爪ストッパー24によるチェーン4の停止状態を解除することによって、チェーン4を駆動するためのマイクロスイッチ21が設けられ」、「チェーンスプロケット5の原動軸9には、減速機11からの回転が中間軸14を介して伝えられ、この中間軸14には、紙送り爪7若しくは8によって紙束をワイヤーステッチャー27位置へ送ったときに、チェーン4の回転を一時的に停止するためのマグネットクラッチプーリー17が設けられ」ているという構造である。

右の、マグネットクラッチプーリー17は、中間軸14とベアリング18を介して回転自在な平プーリー17aと、中間軸14と一体的に回転するマグネット保持フランジ19とからなっており、前記平プーリー17aがマグネット20を介して前記フランジ19と吸着されている(以上別紙目録(一))。

被告製品(一)においては、紙送り爪7もしくは8によってワイヤーステッチャー位置に送られた紙束の先端が、平綴じ用の停止板62又は中綴じ用の停止板76に当接し、紙送り爪7もしくは8に掛止力が作用した場合、平プーリー17aとマグネット20がスリップして、中間軸14の回転がチェーン4に伝わらずチェーン4の回転が一時的に停止するものと認められる(弁論の全趣旨)。

(四) 以上認定の事実に基づいて、本件発明と被告製品(一)とを対比すれば、(1)本件発明では、紙束送り台に載置した紙束を検出して前記スプロケットの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させ、かつ、右紙束の綴位置への移動を検出して紙束送出用駒の移動を一時的に停止させるという二つの作用を一つの「スイッチ」が行うのに対し、被告製品(一)では、送紙板1に載置した紙束を検出して所定の時間経過後にスプロケット5、6に掛け回されチェーン4を駆動させる作用を「マイクロスイッチ21」が行い、右紙束をワイヤーステッチャー27位置へ送ったときにチェーン4の回転を一時的に停止させる作用を「マグネットクラッチプーリー17」が行うものであり、本件発明では、紙束の移動を一時的に停止させるのは「スイッチ」の作用によるのに対し、被告製品(一)では、紙束の移動を一時的に停止させるのは「マグネットクラッチプーリー17」のスリップ作用によるものであること、(2)本件発明では、「スイッチ」は、紙束の移動を一時的に停止させるために、紙束の移動を検出する作用を必須の要件としているのに対し、被告製品(一)では、紙束の移動を一時的に停止させるために紙束の検出を行っていないこと、(3)本件発明では、一つのスイッチによって紙束の有無及び移動を検出するのに対し、被告製品(一)では、「マイクロスイッチ21」において、紙束の有無のみを検知することにし、紙束の有無の検知によりタイマーを作動させ、所定の時間経過後にチェーン4を駆動するという作用をさせていること、という相違があることが認められる。

そして、右のような構成の相違によって、被告製品(一)においては、薄い、腰の弱い紙葉からなる紙束に適用した場合、ワイヤーステッチャー位置に送られた紙束の先端が停止板に当接しても、紙束がたわんで、紙送り爪に充分な掛止力が作用せず、チェーンの回転が一時的に停止しないこともあるものと認められ、被告製品(一)は、本件発明の奏する、薄い、腰の弱い紙葉からなる紙束においても的確な綴込みができるという効果を奏することができないものである。

したがって、被告製品(一)は、本件発明の構成要件Fのうち「この紙束の綴位置への移動を前記スイッチをもって検出させて紙束送出用駒の移動を一時的に停止させ」るとの構成を有しないものと認められるから、被告製品(一)は、本件発明の構成要件Fを充足しないものといわざるをえない。

(五) 原告は、被告製品(一)において、紙束が綴じ位置へ移送されたときに紙束の移動を一時的に停止するのが「マグネットクラッチプーリー17」の作用によるものであったとしても、「マイクロスイッチ21」の作用を「マグネットクラッチプーリー17」に分担させただけのことであって、技術的構成として本件発明の「スイッチ」と同一である旨主張する。

しかしながら、前認定のとおり、被告製品(一)においては、紙束の移動を一時的に停止させるのはスイッチでなく、「マグネットクラッチプーリー17」によるのであり、紙束の移動を一時的に停止させるために紙束の移動の検出を行っていないのであって、「マイクロスイッチ21」の作用を「マグネットクラッチプーリー17」に分担させたものということはできず、原告の右主張は、採用することができない。

5  以上のとおりであるから、被告製品(一)は、本件発明の技術的範囲に属するものとは認められない。

二  被告製品(二)及び(三)は本件発明の技術的範囲に属するかについて

1  被告製品(二)及び(三)は本件発明の構成要件Aを充足するか。

被告製品(二)及び(三)は、正面側が低く背面側が高くなるように、一五度ないし三〇度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた送紙板1を備えた構造(別紙目録(二)及び(三))、即ち、送紙板1の上縁側を垂直に対し六〇度ないし七五度後方に傾斜させた構造であり、本件発明の構成要件Aにいう「稍後方に傾斜させた」構成に当たらない。その理由は前記一2と同様である。したがって、被告製品(二)及び(三)は、本件発明の構成要件Aを充足するとは認められない。

2  被告製品(二)及び(三)は本件発明の構成要件Eを充足するか。

被告製品(二)及び(三)は、「送紙板1の略中央部上方にはワイヤーステッチャー18が設けられている」という構造を有しており、ホチキスによらずワイヤーによって紙束を綴じ合わせるものであり(別紙目録(二)及び(三))、本件発明の構成要件にいうホチキスガンを具備していない被告製品(二)及び(三)は、本件発明の構成要件Eを充足するとは認められない。その理由は前記一3と同様である。

3  被告製品(二)及び(三)は本件発明の構成要件Fを充足するか。

(一) 被告製品(二)及び(三)は、「送紙板1には正面側に一条と、背面側に二条の爪移動溝5が開設され、これらの爪移動溝3の下面には一対のスプロケットSに掛け回され、前記爪移動溝5の外方に突出して紙束を送るための紙送り爪11、11を備えたチェーン10が夫々張設され」、「送紙板1の紙供給側イには、丁合機75から送紙板1上に送られてきた紙束を検知してタイマーを作動させ、所定の時間経過後に電磁クラッチ14を介してチェーン10を駆動するためのマイクロスイッチ17が設けられ」、「ワイヤーステッチャー18の後側における送紙板1の下方には、ソレノイド44により上下動可能な位置決め定規43とマイクロスイッチ45とを有し」(別紙目録(二)及び(三))、マイクロスイッチ45の作用によってチェーン10の駆動を一時的に停止する(弁論の全趣旨)という構造である。

前一の1及び4認定の事実及び右認定の事実によれば、(1)本件発明では、紙束送り台に載置した紙束を検出して前記スプロケットの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させ、かつ、右紙束の綴位置への移動を検出して紙束送出用駒の移動を一時的に停止させるという二つの作用を一つの「スイッチ」が行うのに対し、被告製品(二)及び(三)では、送紙板1に載置した紙束を検出して所定の時間経過後にスプロケット5、6に掛け回されチェーン4を駆動させる作用を「マイクロスイッチ17」が行い、紙束を所定位置に送ったときに、チェーン10の駆動を一時的に停止させる作用を「マイクロスイッチ45」が行うこと、(2)本件発明では、一つのスイッチによって紙束の有無及び移動を検出するのに対し、被告製品(二)及び(三)では、「マイクロスイッチ17」、「マイクロスイッチ45」は、異なった場所に設置され、それぞれ独立して紙束の有無のみを検出することにしたうえ、「マイクロスイッチ17」において、紙束の有無の検知によりタイマーを作動させ、所定の時間経過後に電磁クラッチ14を介してチェーン10を駆動するという作用をさせていること、以上の事実が認められる。

したがって、被告製品(二)及び(三)は、本件発明の構成要件Fを充足しないものといわざるをえない。

(四) 原告は、被告製品(二)及び(三)において、紙束が綴じ位置へ移送されたときに紙束の移動を一時的に停止するのが「マイクロスイッチ45」の作用によるものであったとしても、「マイクロスイッチ17」の作用を「マイクロスイッチ45」に分担させただけのことであって、技術的構成として本件発明の「スイッチ」と同一である旨主張する。

しかしながら、前認定のとおり、被告製品(二)及び(三)では、「マイクロスイッチ17」、「マイクロスイッチ45」は、異なった場所に設置され、それぞれ独立して紙束の有無のみを検出することにしたうえ、「マイクロスイッチ17」において、紙束の有無の検知によりタイマーを作動させ、所定の時間経過後に電磁クラッチ14を介してチェーン10を駆動するという作用をさせているのであって、「マイクロスイッチ17」の作用を「マイクロスイッチ45」に分担させただけのことであるとはいいがたく、原告の右主張は、採用することができない。

4  以上のとおりであるから、被告製品(二)及び(三)は、本件発明の技術的範囲に属するとは認められない。

三  予備的主張について

原告は、本件発明を特許出願した後、被告らに対し、本件発明を開示し、実施許諾に関する交渉をしたが、実施許諾契約を締結するに至らず、その後、被告らは、被告製品(一)ないし(三)を製造販売した(争いがない事実)。

しかし、前認定のとおり、被告製品(一)ないし(三)は、本件発明の技術的範囲に属するものとは認められないから、その余の点について判断するまでもなく、被告らの不当利得を認めることはできず、他に被告らが原告の損失において、不当に利得したことを理由あらしめる主張立証がない。

(裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 一宮和夫 裁判官 宍戸充)

目録(一)

一 物件名 冊子の綴じ折り装置

但し、被告文昌堂精機有限会社が製造し、被告株式会社文昌堂が「冊子の綴じ折り装置」の商品名をもって販売した以下の説明及び別紙図面(1)及び(2)に示す冊子の綴じ折り装置

二 図面の簡単な説明

第1図は被告製品(一)の送紙板1を水平にした状態における内部構造を示す正面図、第2図は一部を切欠した側面図、第3図はマグネットクラッチプーリーの構成を示す断面図、第4図及び第5図は一回転クラッチの構成を示す断面図である。

三 物品の構成の説明

正面側が低く背面側が高くなるように、三〇度ないし四五度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた送紙板1を備え、この送紙板1の正面側の側辺に案内板2を有している。また、この送紙板1の略中央部上方にはワイヤーステッチャー27が設けられている。前記送紙板1の正面図(第1図)より見て右側には、前記ワイヤーステッチャー27の方向に向けて爪移動溝3が開設され、この爪移動溝3の下面には一対のスプロケット5、6に掛け回され、前記爪移動溝3の外方に突出して紙束を送るための紙送り爪7、8を備えたチェーン4が張設されている。

更に前記送紙板1の案内板2には、丁合機Dから送紙板1上に送られてきた紙束を検知してタイマーを作動させ、所定の時間経過後に爪ストッパー24によるチェーン4の停止状態を解除することによって、チェーン4を駆動するためのマイクロスイッチ21が設けられている。

チェーンスプロケット5の原動軸9には、減速機11からの回転が中間軸14を介して伝えられ、この中間軸14には、紙送り爪7もしくは8によって紙束を前記ワイヤーステッチャー27位置へ送ったときに、チェーン4の回転を一時的に停止するためのマグネットクラッチプーリー17が設けられている。このマグネットクラッチプーリー17は、前記中間軸14とベアリング18を介して回転自在な平プーリー17aと、中間軸14と一体的に回転するマグネット保持フランジ19とからなっており、前記平プーリー17aがマグネット20を介して前記フランジ19と吸着されている。

前記ワイヤーステッチャー27の後側における送紙板1の下方には、ソレノイド61により上下動可能な平綴じ用の停止板62と、マイクロスイッチ63と、冊子送りローラー82及び平綴じ用送紙案内板67とを有している。またワイヤーステッチャー27の下方には、前記マイクロスイッチ63の導通に伴うソレノイド48の動作により一回転して、ワイヤーステッチャー27を作動するための一回転クラッチ37を備えている。

更に前記ワイヤーステッチャー27の後側には、折込みナイフ49と、このナイフ49によって折られた紙束を挟着して、機外に送り出すためのローラーシステム81を有している。

前記折込みナイフ49の後側には、ラックとピニオンにより手動にて自在に設定位置を移動し得るピニオンホルダー72上に、中綴じ用の停止板76と、この停止板76に当接した紙束を検知して、前記ワイヤーステッチャー27を作動するためのマイクロスイッチ77と、中折り用位置決め板78とが設けられている。

図面(1)

<省略>

目録(二)

一 物件名 冊子の綴じ折り装置

但し、被告文昌堂精機有限会社が製造し、被告株式会社文昌堂が「冊子の綴じ折り装置」の商品名をもって販売した以下の説明及び別紙図面(3)及び(4)に示す冊子の綴じ折り装置

二 図面の簡単な説明

第1図は被告製品(二)の装置全体の構成を示す斜視図、第2図は平面図、第3図は送紙板1を水平にした状態における内部構造を示す正面図、第4図は第3図のⅢ-Ⅲ線より見た側方断面図、第5図は同じく第3図のⅣ-Ⅳ線より見た側方断面図、第6図及び第7図は一回転クラッチの構成を示す断面図、第8図は位置決め定規の構成を示す断面図、第9図は折込みローラーの構成を示す断面図である。

三 物品の構成の説明

正面側が低く背面側が高くなるように、一五度ないし三〇度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた送紙板1を備え、この送紙板1の正面側の側辺に中綴じ用案内板2を有し、該案内板2の上側には平綴じ用の案内板8が出入自在に設けられている。また、この送紙板1の略中央部上方にワイヤーステッチャー18が前記案内板2と平行な向きに設けられている。前記送紙板1には正面側に一条と、背面側に二条の爪移動溝5が開設され、これらの爪移動溝5の下面にはそれぞれ一対のスプロケットSに掛け回され、前記爪移動溝5の外方に突出して紙束を送るための紙送り爪11、11を備えたチェーン10がそれぞれ張設されている。

更に前記送紙板1の紙供給側イには、丁合機75から送紙板1上に送られてきた紙束を検知してタイマーを作動させ、所定の時間経過後に電磁クラッチ14を介してチェーン10を駆動するためのマイクロスイッチ17が設けられている。

チェーンスプロケットSの原動軸12には、電磁クラッチ14が設けられている。

ワイヤーステッチャー18の後側における送紙板1の下方には、ソレノイド44により上下動可能な位置決め定規43とマイクロスイッチ45とを有している。またワイヤーステッチャー18の下方には、前記マイクロスイッチ45の導通に伴うソレノイド33の作動により一回転して、ワイヤーステッチャー18を作動するための一回転クラッチ31を備えている。

更に前記ワイヤーステッチャー18の後側には、折込みナイフ55と、ソレノイド61の作動により、前記折込みナイフ55を上昇させるための一回転クラッチ59(該クラッチの構成は第6図の一回転クラッチ31と同じ)と、前記ナイフ55の上昇により折られた紙束を挟着して機外に送り出すための折り込みローラー46とが、設けられている。

前記折込みナイフ55の後側には、前記ワイヤーステッチャー18の部分に設けられた前記位置決め定規43と同様に、ソレノイド65により上下動可能な位置決め定規64と、この定規64に当接した紙束を検知して、前記折込みナイフ55の上昇用ソレノイド61を作動するためのマイクロスイッチ80が設けられている。

図面(3)

<省略>

図面(4)

<省略>

目録(三)

一 物件名 冊子の綴じ折り装置

但し、被告文昌堂精機有限会社が製造し、被告株式会社文昌堂が「冊子の綴じ折り装置」の商品名をもって販売した以下の説明及び別紙図面(5)及び(6)に示す冊子の綴じ折り装置

二 図面の簡単な説明

第1図は被告製品(二)の装置全体の構成を示す斜視図、第2図は平面図、第3図は送紙板1を水平にした状態における内部構造を示す正面図、第4図は第3図のⅢ-Ⅲ線より見た側方断面図、第5図は同じく第3図のⅣ-Ⅳ線より見た側方断面図、第6図及び第7図は一回転クラッチの構成を示す断面図、第8図は位置決め定規の構成を示す断面図、第9図は折込みローラーの構成を示す断面図である。

三 物品の構成の説明

正面側が低く背面側が高くなるように、一五度ないし三〇度の傾斜角をもって表面を前方に傾斜させた送紙板1を備え、この送紙板1の正面側の側辺に中綴じ用案内板2を有し、該案内板2の上側には平綴じ用の案内板8が出入自在に設けられている。また、この送紙板1の略中央部上方にワイヤーステッチャー18が前記案内板2と平行な向きに設けられている。前記送紙板1には正面側に一条と、背面側に二条の爪移動溝5が開設され、これらの爪移動溝5の下面にはそれぞれ一対のスプロケットSに掛け回され、前記爪移動溝5の外方に突出して紙束を送るための紙送り爪11、11を備えたチェーン10がそれぞれ張設されている。

更に前記送紙板1の紙供給側イには、丁合機75から送紙板1上に送られてきた紙束を検知してタイマーを作動させ、所定の時間経過後に電磁クラッチ14を介してチェーン10を駆動するためのマイクロスイッチ17が設けられている。

チェーンスプロケットSの原動軸12には、電磁クラッチ14が設けられている。

ワイヤーステッチャー18の後側における送紙板1の下方には、ソレノイド44により上下動可能な位置決め定規43とマイクロスイッチ45とを有している。またワイヤーステッチャー18の下方には、前記マイクロスイッチ45の導通に伴うソレノイド33の作動により一回転して、ワイヤーステッチャー18を作動するための一回転クラッチ31を備えている。

更に前記ワイヤーステッチャー18の後側には、折込みナイフ55と、ソレノイド61の作動により、前記折込みナイフ55を上昇させるための一回転クラッチ59(該クラッチの構成は第6図の一回転クラッチ31と同じ)と、前記ナイフ55の上昇により折られた紙束を挟着して機外に送り出すための折り込みローラー46とが、設けられている。

前記折込みナイフ55の後側には、前記ワイヤーステッチャー18の部分に設けられた前記位置決め定規43と同様に、ソレノイド65により上下動可能な位置決め定規64と、この定規64に当接した紙束を検知して、前記折込みナイフ55の上昇用ソレノイド61を作動するためのマイクロスイッチ80が設けられている。

図面(5)

<省略>

図面(6)

<省略>

<19>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告

<12>特許公報(B2) 昭63-28762

<51>Int.Cl.4B 27 F 7/02 識別記号 庁内整理番号 6719-3C <24><44>公告 昭和63年(1988)6月9日

発明の数 1

<54>発明の名称 紙束綴装置

審判 昭57-472 <21>特願 昭53-34973 <65>公開 昭54-127729

<22>出願 昭53(1978)3月28日 <43>昭54(1979)10月3日

<72>発明者 小林宏慈 東京都三岡市下連雀3丁目35番22号

<71>出願人 小林宏慈 東京都三岡市下連雀3丁目35番22号

<74>代理人 弁理士 佐々木功

審判の合議体 審判長 古賀洋之助 審判官 安達功 審判官 天野正景

<56>参考文献 特公 昭47-51436(JP、B1) 特公 昭48-11413(JP、B1)

特公 昭43-4810(JP、B1)

<57>特許請求の範囲

1「上縁側を稍後方に傾斜させた紙束送り台の下縁部には定規版を備え、この送り台には紙束送り方向に向けて開口するスリツトを有し、この紙束送り台の裏面にあつて一対のスプロケツトに掛け回されて、前記スリツトに沿つて配置されたチエーンを備え、そのチエーンに前記スリツトから突出して移動する紙束送出用駒を備えると共に前記スプロケツトの回転軸に回転を伝えるプレーキ付電磁クラツチを備え、前記紙束送り台の送り方向側に出入自在に綴位置規制ストツパーとこのストツパーに当接した紙束をストツパーと略同時に動作して綴じ合わせるホチキスガンとを備え、前記紙束送り台に載置した紙束をスイツチをもつて検出して、前記スプロケツトの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させると共にこの紙束の綴位置への移動を前記スイツチをもつて検出させて紙束送出用駒の移動を一時的に停止させ、その間に上記のホチキスガンを動作させるようにした事を特徴としてなる紙束綴装置.

発明の詳細な説明

「本発明は、簡単な製本に適した紙束綴装置に関する.

従来使用されている自動的な紙束綴装置は、製本の専門業者が多数の部数を製本するためのものがほとんどであり、例えば、通常のオフイスにおいて、小枚数、小部数の紙束の綴込を行うに適した簡易な自動紙束綴には適さないものであつた。

本発明はかかる点にかんがみ簡易な自動の紙束綴装置を提供するとともに該装置において薄い、いわゆる腰の弱い紙葉からなる紙束においても適確な綴込がなし得られるようにしたものであり、その要旨とするところは、上縁側を稍後方に傾斜させた紙束送り台の下縁部には定規版を備え、この送り台には紙束送り方向に向けて開口するスリツトを有し、この紙束送り台の裏面にあつて一対のスプロケツトに掛け回されて、前記スリツトに沿つて配置されたチエーンを備え、そのチエーンに前記スリツトから突出して移動する紙束送出用駒を備えると共に前記スプロケツトの回転軸に回転を伝えるプレーキ付電磁クラツチを備え、前記紙束送り台の送り方向側に出入自在に綴位置規制ストツパーとこのストツパーに当接した紙束をストツパーと略同時に動作して綴じ合わせるホチキスガンとを備え、前記紙束送り台に載置した紙束をスイツチをもつて検出して、前記スプロケツトの回転軸を作動させて紙束送出用駒を移動させると共にこの紙束の綴装置への移動を前記スイツチをもつて検出させて送出用駒の移動を一時的に停止させ、その間に上記のホチキスガンを動作させるようにした事を特徴としてなる紙束綴装置に存する。

次に本発明の実施の一例を図面について説明する。

図中1は送り台である。

この送り台1は稍後方に傾けて傾斜した状態に配置され、その前面に沿つて紙束Aを立て水平方向に移動させるようにしている。

この送り台1の前端部に綴針操出部を前面側に向けてホチキスガン2が備えられ、そのホチキスガン2に向けて往復動作する紙束綴込押圧動作子3を備え、紙束A上により該押圧動作子3をホチキスガンに押し付けることによつて綴針が繰出され紙束Aを貫通して綴じ込むようにしている。

押圧動作子3はモーターによつて駆動される駆動軸4に対し、その回転を一回の電気信号により―回転だけ伝える―回転クラツチ5を介して動作されるクランク6によりリンク7を介して往復動作させるようにしているものである。

この綴じ込みに際しては紙束Aを綴装置規制ストツパー8に当接させ一時的に搬送を停止させた状態で行なうようにしている。

ストツパー8はソレノイド9をもつて出入させるようにしており、その前方側にスイツチ動作片10を突出させたリミツトスイツチ11が備えられ、そのリミツトスイツチ11により前述した一回転クラツチ5に動作信号が送られ、押圧動作子3が降下動作され綴込がなされるようにしている。

その綴動作終了後にストツパー8が引き込まれるようにしている。即ち、前述したクランク6の軸6aにはカム12が備えられ、そのカムにより綴動作終了検出スイツチ13が動作されるようにしており、その検出スイツチ13によりソレノイド9に通電信号が送られ、保持リレーによりソレノイド9への通電が持続されるようにしている。尚この保持リレーは綴込後の紙束Aの送り出しにより動作される一工程終了検出スイツチ14の信号により解除されるようにしている。

尚図中15は常時回転している送り出しローラーである。

この自動紙束綴磯構へ紙束Aを送り込む送り台1の下縁には紙束Aを載置されてスライドされる定規版16が備えられている。この定規版16は送り台1に対し、上下に平行移動自在に取り付けされ、ソレノイド17に通電することによつて一定輻だけ上方に移動されるようにしている。

定規版16は上下動作杆18に軸19を介して上下にその位置を調節自在に支持されている。上下動作杆18は送り台1の支持枠1aに上下動自在に支持された一対スライド軸20に固定されている。この両スライド軸20は連結杆21によつて互いに連結され、その連結杆21に前述したソレノイド17のプランジヤー17aが連結されている。

ソレノイド17は両ローラー15の後方に備えられた一工程終了検出スイツチ14の検出レパー14aの一回置きの動作毎に電流が供給されて作動されるようにしている。

このようにして、定規版16の位置を一回毎に上下させることにより、送り込まれる紙束Aはホチキスガン2に対する高さ位置が異なり、綴じ位置が変更される。

またこの送り台1には紙束送り機構が備えられている。この紙束送り機構は送り台1の裏面にあつて一対のスプロケツト22、22間に掛け回されたチエーン23と、そのチエーン23に軸24をもつて略90°回動自在に取り付けした紙束送出用駒25とを有しており、紙束送出用駒25の先端が送り台1に開口されたスリツト26より突出され、チエーン23の駆動により紙束Aの後端を押すようにしてい。

駒25は略直角配置に紙束当接部25aとカム部25bとが一体的に形成され、スプリング38により常時紙束当接部25aが引き込まれる方向に付勢されている。

この駒25の前進動作軌跡の背部には上下に移動されるスライド板27が備えられ、紙束送出用駒25のカム部25bがスライド板27に当接することによつて紙束送出用駒25がスプリング40に抗して回動され紙束当接部25aが紙束Aの送り方向に向けて開口されたスリツト26より突出されるようにしている。

チエーン23は一方のスプロケツト軸22aにモーター28の回転を伝えて駆動するようにしており、スプロケツト軸22aは電磁クラツチ29を介してモーター28の回転が断続されるようにしている。またこの電磁クラツチ29は、その電源回路が定規版16に取り付けされ紙束Aの挿入により閉鎖される第一光電スイツチ30の開閉により、開閉されるようにしている。

第一光電スイツチ30は定規版16に対し、紙束Aの移動方向にその取り付け位置を調節できるようにしており、紙束Aが通過することによつて、一時的に電磁クラツテ29の通電を停止させるようにしている。

また電磁クラツチ29は前述した綴動作終了検出スイツチ13からの信号により第一光電スイツチ30がOFF状態であつてもその電源回路が閉鎖され保持リレーにより、その閉鎖状態が持続されるようにしている。そしてその保持リレーは前述した一工程終了検出スイツチ14からの信号より解除されるようにしている。

また、スライド板27はソレノイド31のプランジヤー31aの動作をリンク32、33、軸34を中心として回動自在なアーム35、36、連結棒37を介して伝えられるようにしており、常時スプリング38をもつて引き上げ方向に付勢されソレノイド31の通電によりスプリング38に抗して押し下げられるようにしている。

このソレノイド31は、紙束Aの挿入を検知する定規版16に取り付けされた第二光電スイツチ39の信号により通電がなされ、保持リレーにより保持されるとともに、保持リレーはその通電が後述する綴動作終了検出スイツチからの信号により通電が停止されるようにしている。

このように構成される紙束綴装置は送り台1上に紙束Aを載せることによつて第一、第二光電スイツチ30、39がONされ、これによつて、クラツチ29及びソレノイド31に通電がなされ、チエーン23が駆動されるとともにスライド板27が降下されて駒が突出して移動され、紙束Aの後縁を押し送り出す。

この紙束Aがストツパー8に当接する位置で第一の光電スイツチ30がOFFされ、これによつて電磁クラツチ29が停止し、一時的にプレーキが働き紙束送り機構が停止される。

またストツパー8への当接と同時停スイツチ11が動作され、これによつて一回転クラツチ5が動作され、押圧動作子3が一往復動作し綴動作がなされる。

綴動作終了直接にカム12によつて綴動作終了検知スイツチ13が動作され、これによつて、ソレノイド9に通電されてストツパー8が引き込まれると同時に電磁クラツチ29が再び動作され、紙束Aをローラー間に挟み込んで送り出すものである。

尚上述の実施例において、ストツパー8の位置を、変更自在にすることによつて綴じ位置を調節するようにしてもよいものである。

本発明は上述のように構成され、紙束を送り台上に載せることによつて自動的に送り出され、所定位置で一時的停止されて自動的に綴じ込みがなされて送り出されるものであり、送り台に水平方向のスリツトを設け、そのスリツトから紙束送出用駒を突出させて紙束が送り出されるようにしているとともにその駒は紙束を送り台に載置することによりONされるスイツチによつて紙束送り機構に入力され、これを介してその紙束送り機構が駆動させるようにしたことにより送り台に対し、いずれの方向から紙束を載せた場合にも適確な送り込みが得られることとなり送り台のスペースを小さくすることができ、装置全体がコンパクトなものとなすことができるようになつたものであり、しかも、紙束の載置によつて紙束送出用駒が動作されるものであるため、作業者の作業速度に合わせて送り込みがなされることとなり、多様な作業条件に対応して適確な動作が得られることとなつたものである。

また、紙束を紙束送出用駒をもつてその後縁を押して送り出し、ストツパーに当接する位置でその駒の送り動作を一旦停止させるようにし、その間に綴込動作を行わせ、その後再度紙束送出用駒を動作させて送り出すようにしたことによつて、該駒の当接時に紙束の後縁が揃えられ、かつ、ストツパーへの当接時に前縁が揃えられ、結果的に、二回の揃え作業がなされることとなつて、紙束がきれいに揃つた状態で綴じられるものであり、かつ、送り力は綴動作中完全に停止しているため、薄紙のような腰の弱い紙からなる紙束であつてたもきれいに綴込まれることとなつたものである。

図面の簡単な説明

図面は本発明の実施の一例を示すもので第1図は一部切欠正面図、第2図は綴機構の概略を示す横断面図、第3図は紙束送り機構の送り台を取り外した状態を示す正面図、第4図は同部分横断面図である。

A……紙束、1……送り台、2……ホチキスガン、3……押圧動作子、5……一回転クラツチ、8……ストツパー、9……ソレノイド、10……スイツチ動作片、11……リミツトスイツチ、12……カム、13……綴動作終了検出スイツチ、14……一工程終了検出スイツチ、15……送り出しローラー、22……スプロケツト、22a……スプロケツト軸、23……チエーン、25……紙束送出用駒、26……スリツト、28……モーター、29……電磁クラツチ、30……第一光電スイツチ、39……第二光電スイツチ。

第1図

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第2図

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第3図

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第4図

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特許公報

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